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| ■ 病気なのか、個性なのか、ファジーな時代のファジーな子ども達 |
| (アスペルガー症候群、高機能自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害さらに軽度精神発達遅滞それぞれの問題点(診断の難しさ、疾患別の支援のあり方の問題)―問題提起―) |
アスペルガー症候群、高機能自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害さらに軽度精神発達遅滞それぞれの問題点(診断の難しさ、疾患別の支援のあり方の問題)―問題提起―ADHDから見た違いより
DMS−W―TRによる分類
注意欠陥・多動性障害
A.(1)か(2)のどちらか:
(1)以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月間持続した事があり、その程度は不適応的で発達の水準に相応しないもの:
<不注意>
(a) 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意する事が出来ない、または不注意な過ちをおかす。
(b) 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
(c) 直接話しかけられたときにしばしば聞いてないように見える。
(d) しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げる事が出来ない(反抗的な行動、または指示を理解できないためではなく)。
(e) 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
(f) (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行なう。
(g) 課題や活動に必要なもの、(例:おもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、または道具)をしばしばなくす。
(h) しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
(i) しばしば毎日の活動を忘れてしまう。
(2)以下の多動性―衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月間持続した事があり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない:
<多動性>
(a) しばしば手足をそわそわと動かし、または椅子の上でもじもじする。
(b) しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。
(c) しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高いところへ上がったりする(青年または成人では落ち着きがない感じの自覚にみに限られるかもしれない)。
(d) しばしば静かに遊んだり余暇活動につく事ができない。
(e) しばしば“じっとしていない”、またはまるで“エンジンで動かされているように”行動する。
(f) しばしばしゃべりすぎる。
<衝動性>
(g) しばしば質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう。
(h) しばしば順番を待つ事が困難である。
(i) しばしば他人を妨害し、邪魔する(例:会話やゲームに干渉する)。
B.多動性―衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳以前に存在し、障害を引き起こしている。
C.これらの症状による障害が2つ以上の状況(例:学校または職場と家庭)において存在する。
D.社会的、学業的、または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない。
E.その症状は広汎性発達障害、精神分裂病、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例:気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)では上手く説明されない。
注意欠陥・多動性障害、混合型:過去6ヶ月間A1とA2の基準を共に満たしている場合
注意欠陥・多動性障害、不注意優性型:過去6ヶ月間、基準A1を満たすが、基準A2を満たさない場合
注意欠陥・多動性障害、多動性―衝動性優性型:過去6ヶ月間、基準A2を満たすがA1を満たさない場合
*(特に青年および成人で)現在、基準を完全に満たさない症状を持つ者には“部分寛解”と特定しておくべきである。
・ その人は 7歳になるまで、その兆候が現れなければならない。 「不注意」あるいは「多動―衝動性」の症状が7歳以前に出現していることが診断の条件となっています。この7歳という年齢そのものに根拠があるかどうかは定かではないようですが、ADHDは後天的な原因ではなく先天的(遺伝的、妊娠期のあるいは周産期の)要因によって引き起こされる発達障害であると見なされるということです。
・その兆候からみられる欠損は、2つ以上のところ(学校、自宅など)で現れなければならない。 2つ以上の場面、例えば家庭と学校で症状が出現して、それが障害と見なされる程度であることが必要です。これは、特定の環境が引き金となって不注意や多動が生じるのではないことを意味しています。ただし、初めて訪れた診察室場面などでは多動が顕著に出現しないこともありますし、学校での対応が良い場合に問題行動があまり顕在化しないこともあります。このように、AD/HDの問題行動は場面依存性に生じると言ってもいいでしょう。この点で、学校では教師、家庭では保護者の対応が非常に重要です。
・ いくつかの生活場面で、臨床上に意味のある損傷の証拠がなければならない。 学校で友だちがつくれない、認知的能力は高いが勉強に取り組めないので学業不振の状態が続いているなど明確な証拠が必要です。これは、一見してその子どもの行動が障害であると気づかれにくいのですが、ADHDの子どもは社会的にあるいは学業上で明らかな障害を抱えていうということでもあります。
大脳の前頭葉は前のほうは、注意持続、意欲、自己抑制などの人間特有な機能に深くかかわっています。
注意持続とは、気を散らさずに順を追って情報を処理していく能力のことです。テスト者が指先でリズムを叩き、非験者が同じリズムを再現させたり、一度見せた文字列を書かせたり、連続した作業を行なわせたりします。短期記憶、作業記憶ともかかわります。
意欲は、やりかけた作業を完成させる能力とかかわります。前頭葉は障害を受けると、物事に無関心になり、目標に向かって進もうとする意欲が無くなります。前頭葉の中央部の損傷は、心理的に不安定な状態をもたらし、焦燥感のために、身体的にもじーっとしている事が辛くなります。自己抑制は、客観的な評価が難しい機能です。社会生活を適切に営む能力に大きく関っている。この能力が欠如すると、大人の世界では、幼稚、無分別と見なされる行為をしてしまう。桁外れの自由奔放さ、人の気分を害するような言葉、衝動性、注意散漫、作業をやり遂げる能力の不足などとなって、自己抑制の欠如は現れる。
@ カテコールアミン説
A 前頭葉機能不全説
B ドーパミン欠乏症候群
C 社会的産物説
D 遺伝子学にもとづく説
E その他、甲状腺との関係
鑑別診断(小児から成人までの)
心的外傷後ストレス障害PTSD
A,B,C省略DSM−W―TR
D.外傷以前には存在していなかった持続的な覚醒亢進症状で、以下の2つもしくは以上で示される
@入眠、または睡眠維持の困難
A易怒性または怒りの爆発
B集中困難
C過度の警戒心
D過剰な驚愕反応
E・障害(基準B,CおよびDの症状)の持続が1ヶ月以上
F・障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
PTSDは状況を把握する感覚が鈍り、その場に自分が居ない様な違和感を味わう。人との関わりや責任ある仕事を避けようとし、いつも不安を抱き、職場や学校で能力を発揮し切れません。集中力の障害も共通します。
両者の違いは、PTSDの場合、過去に衝動性、多動性、不注意、注意散漫の徴候が無かったことです。また、障害を誘発したショッキングな出来事を、たいてい指摘できることです。ただその出来事が些細なために、障害と結び付けにくいことがあり鑑別は難しいことが往々にしてあります。
ADHDのような症状を見せる神経疾患
前頭葉や側頭葉と共に障害と外傷を受けやすい領域です。前頭葉に障害を及ぼす原因は、外傷のほかに腫瘍、脳卒中、感染症、変性疾患、脳脊髄液の正常な流れが乱されたときのも起こります。慢性的なアルコールの乱用も起こす可能性があります。多発性硬化症でも前頭葉の機能に障害が出ます。うつ病、強迫神経症、分裂病が前頭葉の機能障害と関係します。前頭葉ロボトミーを施行された人。これらの場合、注意力、判断力、洞察力、作業の遂行能力に問題が生じ、社会的に不適切な行動を、情動反応を示す。
てんかん
ADHDと間違えやすいのは小発作と複雑部分発作です。
小発作は、身体の緊張は正常なまま意識だけを一時的に失う発作で、指先の動きがぎこちなくなる場合があります。発作の間は新しいことを記憶する記銘力は失われ、人とのやり取りは困難です。子どもにこの発作が起こることはさほど珍しいことでなく、治療も難しくはありません。成人するとたいていは発作がよくなります。しまし、別のタイプの発作が起こる場合があります。脳波で診断できます。この発作を治療しないでおくと、記銘力障害を生じ、学校や職場で能力が発揮できないので、ADHDと同じような問題を抱えます。
複雑部分発作は小発作と似ています。この発作が起こるとしばらく、数秒〜数分、空を見つめ、周囲の状況との接点が失われたかのようになります。ADHDの成人も極度に集中したときにはこれとよく似た状態になります。この発作の人は行動に問題が見られる場合があります。強迫観念に悩まされることがあります。
てんかんは多くは側頭葉の障害で怒りますが前頭葉などの障害後に初めて起こる場合もあります。
これらもやはり、過去にすなわち、幼児期からの病状が鑑別の助けになります。
エイズこれははぶきます。
トゥレット症候群
トゥレット障害DSM−W―TR
A:多彩な運動性チック、および1つまたはそれ以上の音声チックが、同時に存在するとは限らないが、疾患のある時期に存在した事がある
B:チックは1日中頻回に起こり、それが毎日、または1年以上の期間中間欠的に見られ、その期間中、3ヶ月以上連続してチックが認められない期間はなかった
C:発症は18歳以前である
D:この障害は物質の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患によるものではない
慢性運動性または音声チック障害
一過性チック障害、特定不能のチック障害がある。DSM−W―TRより。
レット障害DSM−W―TR
A;以下の総て
(1) 明らかに正常な胎生期および周産期の発達
(2) 明らかに正常な生後5ヶ月間の精神運動発達
(3) 出生時の正常な頭囲
B;正常な期間の後に、以下のすべてが発症すること:
(1) 生後5〜48ヶ月の間の頭部の成長の減速
(2) 生後5〜30ヶ月の間に、それまでに獲得した合目的な手の技能を喪失し、その後常道的な手動きが発現する
(3) 経過の早期に対人的関与の消失
(4) 協調不良の歩行と体幹の動きの外見
(5) 重症の精神運動制止を伴う、重篤な表出性および受容性の言語発達障害
女児にのみ起こる進行性の疾患である。2歳頃に、手の目的的使用の喪失や手もみ様の常同運動、知的機能の退行で始まり、運動障害も顕著になっていく。発症初期にはほぼ80%が自閉症あるいは自閉的傾向を示す。
ADHDと共存症として併発しやすい神経疾患です。運動チックは瞬き、顔をゆがめる、手足をピクピク動かす、咳払いをする、ため息をつく。症状が出始めるのが7歳ごろです。
音声チックはもう少し遅く現れ、人前で、とっぴな咳払いや甲高い声、時に乱暴なことばが本人の意思と関係なく口をついてしまい、社会的に孤立する結果につながります。その上に、不注意や衝動性やADHD症状があれば、事態はさらに複雑になります。成人後も症状は続きます。ADHDと異なる点は症状の強さに起伏があります。
薬剤による似たような症状
抗ヒスタミン剤、強心剤、鎮静剤、薬物中毒、コカインの使用、低血糖症、甲状腺障害などの内分泌の障害なども似たような症状をていします。
ライム病
ライムダニが媒介する炎症性疾患ですので検査でわかります。
ライム病にかかった子は多動になり、集中力が低下するので、ADHDの治療の前にチェックすることが医師に求められます。
日本ではどうでしょうか?
中年のアルツハイマー病
これも成人のADHDと誤解されやすいことがあります。
うつ病
ADHDの子供の約50パーセントは単純性ADHDで、50パーセントにはADHDとともに他の病気が生じます。ADHDの子供のおよそ15パーセントには双極性障害があると思われます。双極性障害がある子供の50パーセントないし80パーセントにADHDも見られることが、2つの研究で証明されています。行為障害がある場合、その20パーセントに気分障害があり、30パーセントに不安障害があります。
うつ症状:意欲の欠如
社交性の変化
趣味などの興味の変化
食事や睡眠パターンの変化
活力の低下
自己無価値観
死への不安
不眠等で
能力がはっき出来ない状態が続き、作業をやり終えられなかったり、先延ばしするなどの特徴が似てきます。
躁うつ病の場合も不注意、気の散りやすさ、落ち着きのなさ、気分の変わりやすさ、軽はずみな行動、早口で切迫した話し方、癇癪や気分の変調などがあります。
双極性障害(躁鬱病)は複雑な臨床像を示すことが多く、ADHDや行為障害が同時に見られるのがふつうです。双極性の症状を示している子供は、怒りっぽいか敵意を示しやすくなっています。多動の場合よりもはるかに強い興奮を示します。年齢が低い子供では、不機嫌や怒りっぽさが強く出ます。年齢が上がれば、成人に見られるような典型的な循環の傾向が強くなります。年嵩の子供では睡眠障害が見られるほか、しばしば多弁になります。そのような子供たちは、頭の中を考えがどんどん飛んでいくのだと説明します。目標指向的行動が増え、脱抑制、軽薄さ、青年期の物質乱用、性的なだらしなさが多く見られるようになります。双極性障害の子供の85パーセントに、いわゆる混合型の症状が見られます。これは躁状態、つまりエネルギーにあふれ、きわめて怒りっぽく、精神病的な状態であると同時に、うつ状態でもあるということです。このような子供は家族の機能を完全に破壊しかねないため、基本的に不幸な子供といえます。双極性障害は物質乱用につながる可能性がきわめて高い因子となります。
子供の強迫神経症(OCD)は、小児精神分裂病とひじょうよく似ています。きわめて精神病的に見える子供がOCDである場合があります。鑑別診断(他の病気である可能性がないことを確認すること)を慎重に行なう必要があります。
不安障害
ADHDの場合の心配性です。落ち着きがなく、緊張が高く、動悸、発汗が見られ、この様な人を驚かすと、びっくり仰天させてしまいます。しかし、衝動性や不注意は見られません。ADHDは特に大きなグループに属することを怖がり、社会性恐怖と呼ばれます。衝動性や不適切な言動のために度々恥をかき、仲間はずれにされるという経験からきているようです。
人格障害
敵意、反抗心、対抗意識で、危険、自己顕示、他人の不幸を生きがいとしているようで、子どもの反抗挑戦性障害とよく似ています。その子の行動が暴力を伴う場合、行為障害となります。
「精神医学アルカイヴズ」1993年度版に、ADHDの子は反社会的人格に育つ危険が、普通より10倍高いという報告が載っています。新聞などでよく報道されるので、困るのですが、その様にならないためにも、育児、療育、教育をADHDの子ども達には徹底させる体制が求められる。
境界性人格障害
自分の能力や役目などを現実どおりに捉えられず、周囲と円満な関係を築けず、感情が不安定なためとっぴな行動を見せます。周囲には理由が分からないことで、気分が極端から極端へ揺れ動き、ある瞬間にはひどいうつ状態かと思うと、次の瞬間には攻撃的で敵愾心をあらわにしたり、幸福の絶頂にいたりする様に映ります。
行動が予測できずに、自傷行為も良く見られます。非常に批判的で、断定的で、世の中の人は悪人か聖人かのどちらかになります。ADHDは生活の中に何か切掛けがあり、気分ががらりと変わりますが、境界がたのような頑なではない。自傷行為もまれです。ただ、相手の気持ちを思いやる事が苦手ではあります。
睡眠障害
純粋に心理面のみでおきる事は無く、脳にも生理的原因があります。精神疾患と脳の器質的疾患の区別する事はすでに時代遅れになってきています。両者は互いに絡み合って存在しているのです。
ナルコレプシー
日中に眠気が起こり、運転中、読書中、食事中とんでもない時に眠り込んでしまう。炭水化物を多く取った後に起こる場合もあります。注意力散漫、作業遂行力、記憶力の障害は似ていますが、衝動性、多動性、不注意が子どものときから見られたかが鑑別点になります。睡眠時無呼吸もあります。
しかし、本当に難しい鑑別は、高機能自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、軽度知的障害などが問題となるでしょう。
ADHDは20世紀初頭からイギリスで報告されていて、微細脳損傷、多動症候群とかの名称の変化をして、今日に至っています。1994年DMS−Wに掲載されています。
2〜7%ぐらいの頻度で、小学生の5%ぐらいがそうであると言われ、男児が女子より3〜5倍多い。
DMSの混合型が60%、ついで不注意優性型、多動・衝動性優性型は少ないといわれています。
幼児期は育てていても、兄弟とは異なる感じを持つ場合が多く有ります。幼児期になると典型的な症状が発現してきます。目を離す事が出来ない。振り向きもせずに一直線に走ってしまう。多動傾向でも疲れを知らない。融通がきかない。
頑固、怪我しやすい、あまり昼寝をしない。3〜5歳頃には保育園や託児所で「じーっと」していられない。高機能自閉症児は最初から多動性、衝動性が見られるが、1年目、2,3年目と環境に慣れて、状況が把握できるようになると落ち着く傾向があります。ADHDの子は10歳ぐらいになると、あまり目立たなくなります。学習障害の合併や、反抗挑戦性障害や行為障害が重なってくる場合があり、注意が必要です(学校や家庭環境)。運動チックと音声チックのトゥレット症候群も合併する事がありますので注意がさらに必要です。
多動障害
自覚は無く、いつもしかられているばかりの、自尊心が低くなっている児という自覚があると思われる。
これはADHDの多動性の診断基準があります。しかし、これが病気なのか、生理的にこの年代の子ども達は多かれ少なかれ多動であるが、少し度を越しているだけなのか?が問題となる疾患です。アメリカではりタリンが多く処方されている。この薬は、ドーパミントランスポーターの亢進を抑制する働きがある。多動児は前頭葉の一部が大きい小さいがあり、扁桃核の減少、脳梁の太さが前の方で細い。この様な特徴があるが、青年期にはほとんどが落ち着いてしまう。
広汎性発達障害の場合、
生後まもなく発症し、生涯にわたって持続する障害ですが、いつまでも絶対的孤立を続けているわけではありません。障害は5歳以前に最も深刻となりますが、それ以降は改善傾向がみられ、友達と一緒の行動ができるようになるのは6歳代のことが多く、学習参加の意欲が見られるのは小学校3〜4年生ころからで、小学校6年生ころになると言語理解の進歩が見られるようになり、外界に歩み寄るようになります。そのため幼少時に自閉症の診断を受けた子供が、青年期になり別の医師から自閉症を否定されることが少なくありません。ただし社会適応、学校適応に問題があったり、特定の事物がいつもと同じようになっていないと気が済まない(同一性保持)という強い固執傾向や、一定の動作を気が済むまで繰り返す強迫的行動などは残る傾向が強いようです。言語能力と全体の知的水準が最終的な予後に最も関係すると言われています。成人では約1/3がある程度の部分的独立が可能となります。
知能の程度は重度の遅れから、正常、それ以上までの範囲にわたっていますが、分布は低い方に偏っており、中等度精神遅滞(IQ35〜50)のことが多いようです。たとえ知的に高いとしても、対人交渉そのものが強く障害されているだけに人を介しての学習は今後難しい可能性があります。
ADHDでも、年少児で程度が強い場合はマイペースな行動が目立ち、一見自閉症と鑑別に迷うことがあります。そのような場合でも、ADHDであれば本人が関心を持っている領域では、他の人とやりとり行動や遊びが成立するのが特徴です。自閉症では通常は、自分が関心を持っている領域に他の人が関わってくるのを嫌がります。
学習障害は読字困難と書く事も障害されます。「読み書き障害」ADHDとの合併もあります。ADHDを持つと診断された人のうち、10%〜25%の人は、LDでもあると診断されている。能力の低い部分を、注意欠陥の症状と見間違えることがある。 適切な知能検査を行うことで、容易に鑑別可能。
まず診断を確かなものにする必要があります。脳の先天的な発達障害で、成長と共に完治するものではないのです。
読み書きの障害レベルを正しく把握し、学習法のアプローチをする事が大切です。闇雲な訓練学習は自信喪失になりかえって逆効果ですから。3歳児健診で学習障害にとって特徴的な症状はありません。それに引き換えて、軽度知的障害や自閉的な子達は大部分が話し言葉の遅れが見られます。「ことばが遅い」「ことばの理解が悪い」。ことばは出たがなかなか増えてこない。ことばの使い方がおかしい。保護者とのコミュニケーションも難しい場合もあります。
自閉症でも1歳まで何も無く、いつとはなしにことばや行動面で今まで出来ていた事が出来なくなる「折れ線型自閉症」というタイプの発達の退行をします場合もあります。視線も合っていたのに合わなくなる。ひどい場合は脳の退行性・変性疾患を思わせることもある。小児崩壊性障害の場合も考える事が必要になるかもしれません。学齢期に学習障害と思われる子の中には、幼児期のことばの理解が悪く、精神発達遅滞を思わせる子や、幼児期にことばの遅れがある子の中に、3歳過ぎてくると急に話しだしてことばの遅れが目立たなくなる子もいます。しかし、良くしゃべる割には人の話の内容の理解が悪く、会話にならずに、頓珍漢な応答になる子もいます。絵などの理解がよく、視覚を利用したアプローチが効を奏する場合があります。
典型的な学習障害児には、幼児期には特別な特徴がない事が特徴です。
* 小児崩壊性障害DSM−W―TR
A:生後少なくても2年間の明らかに正常な発達があり、それは年齢に相応した言語的および非言語的コミュニケーション、対人関係、遊び、適応行動の存在により示される
B:(10歳以前に)以下の少なくとも2つの領域における、以前に獲得された技能の臨床的に著しい喪失
(1) 表出性または受容性言語
(2) 対人的技能または適応行動
(3) 排便または排尿の機能
(4) 遊び
(5) 運動能力
C:以下の少なくとも2つの領域における機能の異常
(1) 対人的相互反応における質的な障害
(2) コミュニケーションの質的な障害
(3) 運動性の常同症や衒奇症を含む、限定的、反復的、常同的な行動、興味、活動の型
D:この障害は他の特定の広汎性発達障害または精神分裂病では上手く説明されない。
平成11年7月2日(文部科学省)診断基準
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害予、環境的な要因が直接の原因となるものではない。
学習障害ではないかと相談を受ける子どもの中には、広義に広汎性発達障害(または自閉性障害)と呼ばれる高機能自閉症、アスペルガー症候群の子どもも含まれています(この2つを合わせて高機能自閉症と呼ぶ場合もあります)。幼児期にこだわりなどの自閉的特徴を示し、それが軽減しており、知的にも高く、コミュニケーションもとれないというほどではありません。LDとの基本的な違いは、学習上の問題はさほどではなく、むしろLDでは二次的な問題である社会性により問題を多く示します。一人で孤立している、他者の心情が理解できない、自己中心的でわがままであるといったことで、集団から逸脱しやすく、先生を困惑させることが問題の中心です。
この中にも説明している語用論の障害が顕著で、この面の問題が大きい場合にはLDよりも高機能自閉症を疑う方がよいかもしれません。診断は、基本的に児童精神科医領域になります。
これらの違いを知っておく必要は、診断によってADHDのように治療が可能な場合や、対処の方法が違ったり、将来を見据えると、教育で重点をおく点が異なってくるからです。
3 学習障害には二種類の考え方
LDには、二つの考え方があります。一つは、Learning Disabilitiesと言い、強いて日本語に訳せば『学習能力障害』と訳せる考え方です。一般に使われている「LD」がこれにあたります。もう一つは、Learning Differencesと言って、『学び方の違う子』という考え方です。
本人には、「君には君の学び方のルールやリズムがあるんだよ。君にみんなと同じ(指導要領に沿った)教え方をそのまま当てはめても、うまくいかない。君の学び方でまなぼうね」「君に教えるときには、もっとスモールステップで(細かく具体的に)やっていかないと、学びにくいのだよ」といったことを説明します。
すなわち、『学び方は違うけれども、その子にあった学び方をすれば伸びるよ』ということを意味しているわけです。これは、親や本人にとって、大変見通しの明るい説明になります。
4 SLDとは
LDの出発点は現在『SLD』と呼ばれている子ども達のもつ問題です。Sはspecific(特異的)という意味で、dyslexia(読字障害)などの子どもがこれに該当します。知的には問題がなく、いろいろなことが十分できるのに、どういうわけか読むことができない子どもがいることが、LDの出発点だったのです。そして、調べていくうちに読めないだけでなく、書けないということも分かってきました。
読むことについては、文章全部が読めないのではなく、1文字1文字読むという読み方(逐次読み)になります。そのため、読むのに精一杯で内容理解ができないのです。また、文字や行を飛ばし読みをする、間違って読むなどということも読みの問題です。この2つの問題は、その原因が異なりますが、現象的には読み書き障害として捉えられます。
こういった読み書きの困難性がさまざまな学習に影響を与えます。小学校の高学年になっても、1年生の子が読むように非常にたどたどしい読み方が続くことがあります。
その結果として書けないということも起こります。このような状態が『読み書き障害』と判断されます。これが『SLD』といわれる子ども達です。これは狭義の意味のLDであり、医学分野の定義では、学習障害に該当するものを「読み書き障害」、つまりSLDに限定しています。教育でいうLDは、これより広い問題を持つ子を示し、認知による学習の困難を示す子ども全体をさしています。
・ Dyslexia 読むことが苦手。読むことに集中できない。読むことから理解ができない。失読症
・ Dysgraphia 図形処理が苦手。空間把握ができない。図形から理解ができない。
・ Dyscalculia 計算が苦手。数学上の処理ができない。数字から理解ができない。
※これらの言葉は、LDと同義語ではありません。
5 ブライトLDとは
LDの中にはブライトLDと呼ばれる一群が存在します。知的能力の高いLDで、読むこと、書くこと、または算数障害の障害のみの障害で、障害というより認知の個性としてとらえた方がよい子どもたちです。ことばを変えて表現したものがSLDです。エジソンやアインシュタイン、トム・クルーズなどがその代表です。アメリカのLDのための私学であるボストンのランドマーク・スクールやハワイのアセッツ・スクールで学ぶ子ども達の多くは、このブライトLDまたはSLDが対象です。これらは、高校生や大学生になってから発見される例も少なくありません。これに対し、低い能力のLDもいることを理解しておく必要があります。この場合、知的な問題を限りなく多く持っており、読み書きにとどまらず、全ての学習で問題を示す可能性があります。援助の方法が異なり、ブライトLDの方が指導効果を期待できます。
6 幼児期の学習障害の疑い<ことばの遅れから学習障害へ>
言語性のLD児の幼児期をさかのぼって調べてみると、「ことばの遅れ」を示した子が多く、3歳頃にはなしことばが出るようになっています。また、知能は低くなくことばのみ遅れることから、「特異的言語発達遅滞(言語が特異的に遅れる)」と診断された、という子が多いのも特徴です。1歳半及び3歳半健診で、ほかの領域の発達に比べことばの発達面が遅い子は「LD疑われる子」として経過をみていく必要があります。
<幼児期に学習障害が疑われる子どもの特徴>
@知的な遅れはないのに、どことなく気になる子
A落ち着きがない子
Bぼんやりしていることが多い子
Cことばの遅れがあった子 ・
Dできることと、できないことに大きな差がある子
E先生の指示がなかなか分からない子
F聞き返しが多い子
G理解は良いのに、ことばの数が増えない子
H物の名前を覚えるのが苦手で「あれ、それ、こんなの」
など、指示代名詞が多い子
I発音の誤りやことばの言い誤りがある子
J友達と遊べない子
K集団に入りにくい子
L微細運動や粗大運動が不器用な子
M何でもすぐ忘れる子
N周りの刺激が気になり、人の話を聞いていない子
非言語性学習障害
1960年代以降、研究者達は、社会―情緒機能のおいて特異的な障害を持ち、算数のスキルが弱い子ども達の存在に気がついた。これらの子ども達は、言語理解の障害を抱えていないらしいという点で、従来の学習障害の子ども達とは異なっていた。しかし、一連の特徴のある問題を示していた。こうした研究者達の報告によれば、こうした子ども達は、社交性に欠け、身体的に不器用で、算数と視覚空間処理全般に問題があるが、言語表出という点では優れていた。この様な観察に基づいて、非言語性学習障害として知られる事となる障害について1975年報告された。
その後、1985年「非言語性学習障害:症候群と症例」Byron Rourkeが出版された。5つの特徴を述べてある。
@ 触覚:感触で対象物を知る(柔らかい、ザラザラしている)とワイシャツの背中のタグを無視する能力も含む。
A 精神―運動の協調:体の動きを協調させてコントロールできる能力。
B 視覚―空間の組織化・系統化:視覚を使って得られた情報を使って、即ち、算数の問題がぎっしり詰まったページを見て、一問目が何処から何処までかを理解する。道にある物体を避けて歩いていくも、空間の組織化・系統化である。
C 非言語的問題解決:やり方を記述した説明書が無くても、物事を上手くどう組み合わせると良いかを、理解する能力で、視覚―空間の組織化・系統化と関連している。
D つじつまの合わない事やユーモアを楽しむ能力:困難である。Rourke 1989
単語を正確に、具体的に使う能力、言語の記憶、聞いた情報を覚える能力が発達していた。情報や事実の丸暗記に非常に優れ、特に言語で示された情報に強い、九九(数学的事実)や単語の綴り、細かな統計リストなど、簡単に覚えてしまう。
右脳左脳の機能別はあるとしても、内部の深層から表層にいたるまで、脳には何層のも回路の接続があり、総てが一つの目的のために働いている。脳は考えられていたより、可塑性があり、回復力がある。多くの学習機能は両半球にまたがっている。前頭葉と白質(左右の脳の間、およびそれらと、前頭葉の間のつながり)の機能不全と考えられている。
「米国教育省の特別支援教育室年次報告書」1999には12.8%は特別支援教育を受けている。米国の学校の8%は学習障害と会話・言語障害で支援を受けている。非言語性学習障害はこの2つに分類される。学習障害の10%は、非言語性学習障害であるという。米国全人口の1%約270万人が想定される。男女差はない。
DMS第4版に公式に認定されていない。
キャスリン・スチャワート博士、ダーリーン・スウィートランド博士2001年作成。以下の項目の80%が一致する事としている。
社会・情緒上の指標
1、 他人、特に同年齢の子どもの、表情や行動が示唆する事を読む能力が劣る。
2、 人との付き合いのなかで、ことばを固定的に、あるいは文字道に解釈する。社交的なニュアンスを見落とす。
3、 物事の「公平さ」を過剰に大切にする。
4、 規則を白黒で解釈する。同年齢の子ども、大人との関係や学習場面で、規則が重要だと考えている。規則破りがあると動揺する。
5、 慰めにくい。一旦動揺すると、子どもはその動揺から解放されるのが難しい。
6、 頑なな思考。何かについて、一旦考えを形成すると、そこから離れようとしない。
7、 臨床心理士や精神科医による強迫性障害の診断。
8、 フラストレーションに陥りやすい。ある種の音を耳にする時、対人的やり取りをしなければならないというプレシャーを感じる時、自分が何を聞かれたのか分からないと感じる時、特に、フラストレーションを感じる引き金となる。
9、 突然の感情の爆発。たいていは断続的だが、予測できる引き金がある。爆発の形としては、ことばとして出てくるもの、物に対して当たること、あるいは癇癪などがある。
10、 身だしなみが悪かったり不潔であったりする。この子どもは、自分が人にどう見えるか、自分が人にどのような印象を与えるかについて感性を、持っていないかのようにみえる。
11、 現在、また過去に睡眠障害がある。
言語使用
12、言語発達の遅れはない。成長初期には、子どもの言語能力は正常あるいはそれ以上の発達を見せる。
13、おしゃべりである。子どもは「豆博士」のように話すときがある。
14、話し方のリズムと流れ;プロソディの奇妙さ。多くは単調な喋り方をする。
15、学業不振の子どもでありながら、優れた言語の表出、豊かな語彙。
16、言語表出は優れているのに、実践的言語使用においては問題がある。
17、関心のあるトピックに関する専門知識の発達。しばしば過剰にそのトピックに固執する。
認知又は学習上の指標
18、「ふり」をする事が出来ない。
19、組織化・系統化能力に欠ける。物ごとを秩序立てて行なう能力
20、時計を読むのが困難。
21、左右の区別の混乱。方向の混乱。
22、機械的反復でない学習の障害。意味を推測したり、結果を予測するよりも、事実の記憶に優れている。「次はどうなるでしょう」というタイプの問題が難しい。
23、物語の中心となる考えが何かを、定義するのが困難。
24、他の学習活動をサポートするために、聴覚的な情報に頼る。家や学校、人前で難しい活動をする時には、しばしば独りごとを言う。
知覚・運動上の指標
25、触覚の過敏性。特定の肌触りのものを好む。服のタグを総て取ってもらう。
26、聴覚過敏。音が気になり、関係のない騒音を気にしないでいる事が難しい。教室や人のあつまる場所でガムをかむ音や鉛筆のコトコト音が気になる。
27、「迷子になりやすい傾向」。物理的な空間ですぐに方向が分からなくなる。
28、以下のうち、1つ、あるいはそれ以上の形で出てくる運動スキルの問題。
・ 書字障害
・ 粗大運動が困難:自転車に乗る
・ 体力不足
・ 書く事以外の細かい動作、靴紐を結ぶなど微細運動
軽度精神遅滞
知能検査がIQ50以上で70未満の範囲で、ほぼ小学生高学年程度の理解力で、中学生段階は無理です。
知的障害という言葉との混同がありますが、ほぼ同じような意味で使われます。精神発達年齢が低いために、多動・衝動性が目立つようにみえる。 適切な知能検査を行うことで、容易に鑑別可能。
特殊教育制度の利用や福祉的援助の可能性が考慮されます。療育手帳の取得も可能です。将来の自立のためには、公的な援助を可能な限り利用すべきと考えます。
発達検査は年齢を尺度の基準とします。発達指数DQ70は、乳幼児期には、発達速度、発達の遅れの原因、子の置かれている環境の問題等々で様々で。一概にDQを基準にする事は危険です。それぞれの領域のバランスを見て、ほぼ均等であれば、全般的な遅れが想像できます。
乳幼児健診での発見は困難と思われます。3歳児健診で全般的な遅れに気づく場合、中等度から高度の精神遅滞と思われます。
就学時にはビネー(精神年齢と暦年齢の比で表現)、ウェクスラー(知能とは構成する要素の集合体とみる)が一般に使われます。
言語性知能が非言語性知能より相対的に低いパターンの場合、後に目覚しい発達をして正常範囲になる場合が多く、幼児期にはその様な発達のことも考慮して慎重な判断が必要である。
就学後は、学習障害や広汎性発達障害と重なり合う症状を示す場合が多い。
日常会話には困らないのですが、文字を読んだり、書いたりすることに興味が無く、絵にも稚拙さがある。嫌がって書かなかったり、遊びに加わっていても、ルールが分からず、その場を離れたり、ルール破りと思われたりします。これらを保護者は、遅れと気がついていない場合があります。周産期に問題がある場合、精神発達に影響する疾患を持って生まれた場合、知的発達に神経質になる保護者もいますが、一般には保護者も教師も学年が上がるにつれて、学習の困難さに気づき初めて分かるケースがある。
しかし、教師は「やれば出来る」「やる気がない」「親の躾がなっていない」「担任が悪い」「情緒未熟」等々といった事が、不登校、非行、暴力校内の問題行動になる場合もあります。
診断が遅れて(検査にひっかからなく)、対応に支援に誤解が加わり、教育のつまずきが結果的にその子の学童期は悲惨なものになる事があります。
精神遅滞とは知的能力の明確な標準からの遅れと適応行動の障害で定義される。知能テストでみると、自閉症児の80%ぐらいに精神遅滞を認め、残りは正常の知能を示す。しかし、圧倒的多数の精神遅滞児は自閉症状を示さない。
高機能自閉症
言語能力を含めた知的能力が高い、広汎性発達障害の患児を、ADHD、LD と診断し間違うことが少なくない。 鑑別には知能検査・心理検査も有用であるが、詳細な生育歴の聴取が不可欠である。 知能検査を施行し、その知能検査に見合うだけの行動様式を取れないことで、気がつかれることも少なくない。 ADHD の子供と同様に多動であることも少なくないが、ADHD と異なり、興味の範囲が狭く、興味の転導性に乏しい(面白いものをみせても、自分の興味に閉じこもる)のが特徴である。 ADHD では、ことばの誤用が主たる問題であるのに対し、高機能の広汎性発達障害では、ことばの語義理解障害が主であることも鑑別に有用である。
広汎性発達障害(自閉症スペクトル)の子どもも多動を示すことがありますし、統合失調症の子どももADHD様の行動をとることがあることが知られています。また、他の精神性疾患例えば気分障害においてもADHD児と類似した行動をとることがありますので、これらの疾患によっては、その子どもの「不注意」や「多動―衝動性」が説明できないことが求められます。
ホスピタリズムと被虐待症候群
ホスピタリズムあるいは社会的遮断などの障害は、施設に入所などして、刺激が少なかったり、不適切な扱いをかなりの長期に渡って受けた時に起こる。その臨床症状は自閉症と違っているのみならず、一般的に早くに発見し、良好な環境にもどせばよく治療に反応する。 被虐待症候群は、乳幼児期において、親に身体的、性的、精神的な虐待を、意図的に繰り返し行われた時に生ずる症候群である。一般には、自閉症の典型的な症状を示すことはなく、治療的にも自閉症と大きく異なる。
反抗挑戦性障害
しつけ不足症候群(反抗挑戦性障害の前段階)
他人に対して、反抗・挑戦的に対応することが、基本的な生活姿勢になっている状態をさす。 自分の利益になることであっても、反抗・挑戦的な態度を取る。 発達障害をもたない児童でも、この障害になりうる。 ADHD
の児童は、この障害のハイリスク群(この障害になりやすい)である。
反抗挑戦性障害のみの児童を、ADHD の合併の有無を判断するのは、行動観察だけからではむずかしく、両親の養育姿勢、生育歴を参考にする必要がある。
反応性愛着障害
あらゆる子供は、身の安全を図りたい(保護されたい)という欲求があり、それが一番最初に母親に向かう。 その母親(両親)に対して、愛着形成(アタッチメント形成)ができていない場合、できていても不安定な愛着形成しかできていない場合が、この状態である。虐待されている子供も、よい例である。
反応性愛着障害の子供は、自分を保護してもらえるところに、よく懐く。 そして、保護してもらえるかどうかわからない場合には、子供は心のよりどころを求めて、さまよい歩く。 診断のためには、身体状態(虐待の有無)や母親(両親)と一緒の時の行動を観察する必要がある。 一般に、人前では、母親にべったりしていることが珍しくないが、母親の機嫌を極度にうかがう様子が認められれば、この障害を疑う。 身体的虐待のみならず、精神的な虐待も考慮に入れる必要がある。
アスペルガー症候群、高機能自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害さらに軽度精神発達遅滞それぞれの相違点・問題点・注意点・参考意見
・軽度の障害というものを取り上げているが、その中でも、例えば、軽度のアスペルガー症候群と言った場合、それはその時点(その年齢)での状態を表す事で、今後の発達(年齢を重ねる)上では色々な要因がその児に影響していくため、軽い、重いということは、必ずしも今後もそうであるといえない場合がある。
・ アスペルガー症候群を高機能自閉症の一種とする考え
・ アスペルガー症候群と非言語性学習障害との区別の難しさ。また重複している場合もある。
・ アスペルガー症候群と自閉症(高機能自閉症でも)診断基準を検討すると、アスペルガーと診断されている子と非言語性学習障害と診断されていようと、自閉症との違いは言語に関する項目である。
・ 実際に高機能自閉症とアスペルガー症候群とを区別できない事例もあり、高機能広汎性発達障害と呼ぶ事を提唱している学者もいる。
・ 乳幼児期に、アスペルガー症候群と注意欠陥多動性障害を正確に鑑別する事は難しい事がある。小学校入学以降は診断基準を参考にそれぞれの診断を正確に下すべきである。DMS−Wでは、アスペルガー症候群(広汎性発達障害に属す)の診断がつくと注意欠陥多動性障害の診断は下せない事になっていた。改訂版のDMS−W―TRではこの縛りがゆるくなり、二重診断も可能になったと思う。重複例もあり、中枢神経刺激剤が有効例は洩れなく、注意欠陥多動性障害の診断基準を満たしており、両障害の合併で、注意欠陥多動性に有効だったと思われる。
・ 広汎性発達障害(自閉症スペクトラム=連続体)は1%(1万人)で、そのうちの半分が高機能とされ、200〜250人に1人が存在するという。
・ 「多動」のみの場合、児の性格なのか、その場合は年齢と共に落ち着いてきますが、「注意集中困難」(ADD)は多動と切り離して考えられるが、難しい。「多動」−「衝動性」もまた対になるパターンです。
・ ADHDとLDとは学習面や態度、行動に類似した臨床像を呈し、その判別には困難さをともないます。
重複の程度について、上野一彦は「30%から50%以上にその可能性がある」としています。
ADHDや「広汎性発達障害」が学習障害の直接の原因である場合はLDと判断しないとしています。
・ ADHDと自閉症の合併が存在するか。
・ 大人のADHDに対するリタリン処方の難しさ、効果、習慣その他の諸問題が小児以上にあるようだ。
・ リタリンの副作用:不眠、頭痛、食欲不振、興奮、攻撃性の増加、チックの子の増悪、人の視線の不安(自省心の働き)等で、使用の可否の諸問題に対する考え方。
・ ADD(注意欠陥障害)@ 典型的ADD A 不注意型ADDB 過集中型ADD(前帯状回は、脳の中でもセロトニン神経細胞の多い部分だ。そして過集中型ADDには、強迫性障害OCDと同じ、セロトニンに作用する薬物が非常に有効であることが分かっている。)C 側頭葉型ADD(どちらも側頭葉の活動の異常によるものだし、どちらも坑けいれん剤が効く。もしかしたら、側頭葉型ADDというのは、変り種の側頭葉てんかんとADDが重複している状態なのかもしれない。)D 辺縁系型ADD(うつ病と辺縁系型ADD似ている点が多いので、区別が難しいことがある。症状も似ているし、SPECTの結果も幾分似ている。ADDでは、症状は長期にわたって続いていて、たいていは子供の頃の話の中に証拠を見つけることができる。SPCET画像人にも微妙な差はある。うつ病の場合、辺縁系の活動過多だけでなく、安静時に前前頭皮質の左側の活動過少が見られる。ところが、患者が注意を集中しようとすると前前頭皮質活動は活発になるのが普通だ。これに対し、辺縁系型ADDでは、辺縁系の活動過剰と同時に、集中時に前前頭皮質の活動が低下する傾向がある。)E「火の輪」型ADD(脳の皮質全体が活動過多で、抑制が効かなくなっている。特に活動過多がよく見られるのは、帯状回、頭頂葉、側頭葉、前前頭皮質である。画像を見ると活動過多の部分が脳の周囲を取り巻く輪のように見える。頭頂葉は、頭の後方の上のほうに位置する。別名を感覚皮質といい、触覚情報を処理する部分でもある。「火の輪」型ADDの人では、この部分が活発すぎる人が多い。「火の輪」型ADDと双極性障害の鑑別は、概して、子どもでは難しく、大人では易しいと言える。双極性障害は、子どものうちは重度のADDによく似ているのだ。とはいえ、双極性障害の子どもたちなら、気分の症状にも行動にも問題の波がある。あるときは行儀も悪く、すぐにイライラいて乱暴だったかと思ったら、それほどでもない時期もある。「火の輪」型のADDの子どもたちは、いつも変わらず、もっとコンスタントに問題を起こす。大人の場合、双極性の患者は躁エピソードを経験するが、「火の輪」型ADDにはそれがない。その代わり、ずっと昔から、同じ問題行動が変わらずに続いているはずだ。)の順に多いようだ。多動を持ったADHDはこの群に入るが、多動のみの場合も存在する。
・ 今後、日本でも診断による支援の有り方に関して、医療と教育のすれ違いをなくすような方向に向いていくと思われる。
・ しかし、3歳で自閉症の診断基準を満たしており、後でことばが延びてきて、6歳では自閉症の基準を満たさなくなり、アスペルガー症候群に相当し、さらには、アスペルガーの基準も満たさなくなり、非定型自閉症になったという例は結構あるものです。
・ 知能指数IQ70の意味:@広汎性発達障害の場合、教育が滞りなく行なわれた場合には知能指数が上がる事が一般的です。これは、通常教育で成果が現れず学年が上がると学力と共にIQも落ちてしまう学習障害と対照をなす。
IQ70という遅滞レベルか否かの境界線は、福祉のサポートを得る事が出来るか否かの分かれ道です。現在のわが国の福祉と教育では、自閉症や広汎性発達障害は、今回特別支援教育で示されてきました。しかし、依然として、知的に高いがゆえに、就労に際しても何ら援助がありません。高機能の定義にはこの様な背景でIQ70となっている。
* 特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症を含む)DSM−W―TR
このカテゴリーは、対人的相互反応の発達に重症で広汎な障害があり、言語的または非言語的なコミュニケーション能力の障害や常同的な行動・興味・活動の存在を伴っているが、特定の広汎性発達障害、精神分裂病、分裂病型人格障害、または回避性人格障害の基準を満たさない場合に用いるべきである。例えば、このカテゴリーには、“非定型的自閉症”−発症年齢が遅いこと、非定型の症状、または閾値に達しない症状、またはこのすべてがあるために自閉性障害の基準を満たさないような病像―が入れられる。
・ 発達障害支援法が施行されてもすぐにどうこう変わることはないようです。知的障害の枠内の子か、高機能の枠外の子の対応が、知的障害と違った自閉症児は困難さを持っている事が、適切な支援体制が出来る可能性が出てきました。見過ごされてきた自閉症児達は、適切な療育、支援教育を受けられるならば、各種の困難さが軽減するであろうし、就労においても、障害に応じた配慮がなされ、一般の人たちとの社会生活を送る事が出来るでしょう。
非言語性学習障害とアスペルガー症候群の類似点
* アスペルガー障害DSM−W―TR
大体千人のうち五人ぐらいいるといわれている
A:以下のうち少なくとも2つにより示される対人的相互反応の質的な障害
(1) 目と目で見詰め合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調整する多彩な非言語的行動の使用
の著名な障害
(2) 発達の水準に相応した仲間関係を作ることの失敗
(3) 楽しみ、興味、達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如
(4) 対人的または情緒的相互性の欠如
B:行動、興味および活動の、限定的、反復的、常同的な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる
(1) その強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはそれ以上の興味だけに熱中する事
(2) 特定の、機能的でない習慣や儀式に頑なにこだわるのが明らかである
(3) 常同的で反復的な衒奇的運動
(4) 物体の一部に持続的に熱中する
C:その障害は社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の臨床的に著しい障害を引き起こしている
D:臨床的に著しい言語の遅れがない
E:認知の発達、年齢に相応した自己管理能力、適応行動、および小児期における環境への好奇心について臨床的に明らかな遅れがない
F:他の特定の広汎性発達障害または精神分裂病の基準を満たさない
両方に見られる障害(総て不良です)
1、 字を書くこと、靴紐を結ぶこと、ビーズを紐に通すこと(微細運動が不良)
2、 自転車に乗ること、スポーツ、走る事、踊りなどの粗大運動が不良
3、 視覚―運動の統合:目と手の連動
4、 視覚―空間の統合:遠近、細部を見る
5、 非言語的概念形成:自分の心の中で何かを見る、インスピレーション、新たな考えに対応
6、 視覚的記憶:見たものを覚えておく
両者に見られる(出来る事)
1、 明瞭な発音
2、 ことばの表出
3、 聴覚的認知:聞いたものの理解
4、 語彙:単語とその使い方の理解
5、 言語的記憶:聞いたことを覚えておく
高機能自閉症がこの両者に見られない障害、ことばを使って人との関係やつながりを築く事は、両者と異なるカテゴリーの機能不全である。この両者の線引きは難しい。アスペルガーはDSM−Wでは自閉症の範疇に入っている。
・ この疾患群の鑑別診断の不確かさと、年齢的発達の変化、さらに病状の変化が輪をかけて診断を難しくしている。
・ 病名で支援療育が決まるのであれば、問題であるが、今、現在の一番の問題点を支援療育していく事で、病名が今後いかに変わろうと、発達に援助効果があるならばあまり、病名にこだわる事はどの様なものかと思いますが。あまり病名にこだわると、しかし、(一般的に保護者は病名を知りたがる傾向はあることはよく理解できます、)それにこだわりすぎると、先入観が良いように働くのかが問題となるのではないでしょうか?ある程度の幅を持った言い方とある程度の年齢で決定する事は、先送りでなく、その子の正しい診断になると思いますが。1,2歳で決定する事が可能な疾患では良いですが、多くは就学後徐々に病像がはっきりしてくる事が多いのではないかと思います。
・ これらの児童たちは今までは一般教室での指導を受けていました。特別支援教育が出来上がると大切になる点は、発達的な視点で子どもをとらえることだと思います。そのためには、たとえば多動や衝動などの行動を、単純に消去すべき「問題行動」と見るのではなく、次の発達への原動力と見る視点が必要です。「できないこと」だけをターゲットにして「消去させる」個別指導だけではなく、教師やなかまとのやりとりのなかで、子どもみずからが困難を克服していく力を育ませることが大切でしょう。集団での活動の参加が難しそうに見えるので、すぐに「個別的」で「訓練的な」指導を行ないたくなりますが、そういうときこそ、なかまと一緒の活動のなかで、真のコミュニケーションの力、自分をコントロールする力をつけさせるような活動づくりや働きかけが重要になると思います。
・ 親が知らなければならないこととして、
(1)治療の基本目標は、発達の促進、適応行動の拡大、行動異常の軽減の3つに整理される
(2)アスペルガ−症候群と高機能自閉症の障害は軽そうに見えるが、やはり自閉症であることの認識が必要である
(3)コミュニケーションの手段を探すべきである。つまり、一般的な言語(言葉)や非言語(表情・身振り)がコミュニケーションの手段になっていないからといって、それをまるで望んでいない・できないわけではない。それらに代わるコミュニケーションの手段を探すべきである(絵、交通標識、記号としての文字、ゲームなど)。健常人にとっては、ことばは便利なコミュニケーションの道具であっても、自閉症患児にとっては、決してそうではなく、ことばに振り回され、大人世界に無理やり合わせようとすることにもなりかねない。独特の意味合いを持って使うことが多いため、周囲の者は、彼らの発することばの響き・声の調子を感じ取るように心がけ、また彼らの言動の文脈からその感情の動きや行動の意図(動機)などを敏感に察知するように感性を磨く。
(4)生活に困らない程度のスキルを習得させること。つまりある程度の読み・書き・計算の基礎学力があった方がよく、生活に必要な知力になるが、小さなうちは生活習慣の習得や楽しく一日を過ごさせることに重点をおく。
(5)社会的に許容される範囲に行動を統制していくこと。つまり社会的に許されない行動に対しては、まずはその行動を止めさせ(刺激に対して強く反応しやすい患児の場合には、その場から離れさせ)、患児を悪者扱いして叱責せず、次に落ち着かせ、安心させ、その後に本人の言い分を聞き、その行動に至った理由をはっきりさせ(ほとんどの場合どうしてそうなったか当人は理解していない)、何度も説明し、粘り強く説得を続ける(児の理解度と興味の対象により言葉、記号、標識などを使い分けながら)が、他人に迷惑をかける範囲のものでなければ(特に家での行動)、かえってやらせてあげた方が早く止まり、協調性を強調し過ぎることのないようにする。一つ一つ獲得目標を明確にし、辛抱強く、時間をかけて適応行動を身につけさせていく。シンプルに教える、具体的にリミットを出す工夫が必要である。
(6)興味・関心のあることにはとことんさせてあげる。つまり興味や関心の範囲はとても狭いが、いろいろなことに参加することにより、思わぬ発見がある可能性があり、それを見過ごさないこと。欠点を矯正するよりも長所(優れた記憶力、狭い範囲での優れた知識、偏見がない、合理的思考、数学・科学に強いことが多いなど)をのばすことが重要である。
(7)親が現場にいて患児に付き添う。つまり患児に今やるべきこと、今、しなくていいこと、人に言われた言葉の意味を伝える(通訳する)こと、健常児達が患児に対して抱く疑問や不信感にその場ですぐ答えることなどができ、徐々に友達が患児を理解できるようになる。
(8)問題行動を起こさないように陰の努力をする。つまり、繰り返しを好む子供の特徴に配慮して、構造化されていない場面(枠組みがなく、子供同士がわいわいがやがやしているような時間)では、仲間に入るきっかけを作れない・友達が「仲間に入っていい」というサインや表情が理解できない・その場の雰囲気・流れが理解できないなどのため、遊べないことになる。従ってグループに入れる時には、ある程度シナリオや構造を作ること・事前にクラスの子供達に具体的な遊び方を示しておくことなどが必要である。(9)思春期・青年期にはまた別の注意が必要である。つまり、思春期・青年期に入ると、もともと強迫的傾向が幼児期から際立っているが、自己意識の高まりと内的衝動、適応不全などとのずれから強迫症状や被害関係念慮・妄想様観念が出現してきたりする。また外見からは理解が困難なほどに他者と自己の違いに苦悶し、強い孤独感を抱いている。治療的介入の手が差し伸べられないと、衝動行為に走ることもある、などです。
お母さんにすでに相当な疲れが出ているようです。お父さんの協力が不足してはいませんか?お子さんのこれからのよりよい指導により今後の人生がかなり違ってくるものと考えます。それには、お父さんの協力が何にもまして大切になってくることと、実際に指導にあたるお母さん自身がしっかりしていかなければなりません。ドクターショッピングに陥らず、信頼できる主治医の先生を探すことです。同じ悩みを持っている方達(アスペの会など)との交流も大切です。お母さんの悩みをもっといい意味で分かち合ってくれる人は必ずいるものです。山上先生(天たまクリニック)からの引用
・ 病名告知の難しさ;各新聞や報道にて、良い印象を与えない病名なので、ショックが大きいし、その後の体制の不備と学校を始めとする理解不足がさらに、告知を困難なものにしている。
・ ファジーな疾患の理解と援助。薬に頼らない、療育、教育の必要性と増え続ける子ども達に対する、特別支援体制の確立が急務。
・ 引用文献については沢山の参考資料と本ですので、ここに紹介しきれませんでした。ごめんなさい。 |
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